海外での危機管理と情報理解

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フランスで筑波大学の学生の方が行方不明になっているというニュースが報道されており現在未だ消息が分からない状態です。何かの事件に巻き込まれたのではないかという情報のみが流れています。実はこの学生の方は私の息子が通う国際系の都立高校の卒業生です。この学校では海外在住経験者が多く、国外での危機管理についても情報がどちらかと言うと多く共有されています。そのような方でも今回のような事件に巻き込まれることもあるという事はこれから海外へ行ってみたいと考える方々にとっては不安が増すのではないかと思いますし、そのように考えられても仕方がないと思います。では危険があるからどこにもいかずに日本にだけいれば良いのでしょうか。それも一つの選択肢だと思いますが、危機管理をしながら世界を知るという事も選択肢に加えてほしいとも思います。

出前授業で海外で働く事に関心のある生徒の皆さんに毎回必ずお伝えする事があります。それは海外に出発する前に情報収集を可能な限り広い範囲で深く行って置く事。例えば治安の良い場所と悪い場所はどの辺りなのか(自分の滞在場所からの距離も含めて)、どのような犯罪が横行しているのか、交通手段はどのようなものがあり旅行者は通常どの手段を使うのが安全なのか、貴重品はどのように保持するのが安全か、盗難などにあった場合はどのように対処すべきか、現地の日本大使館や総領事館の場所と連絡先、病気やけがをした時にはどこに連絡をすれば良いのか(保険会社に連絡すると現地医療機関を紹介してくれるケースもあります)、海外旅行保険ではどのような被害がいくらカバーされるのか、現地に信頼できる知人がいるか(いない場合も親戚や友人に聞いて現地に知り合いがいれば連絡先を教えておいてもらう)などです。これらの情報を元に「どんな事が起きたらどうする」というケーススタディをしてシミュレーションをすることもお勧めしています。危機管理を自分で可能な限り行い、自分で手に負えないことがあればすぐに現地で相談できる人に相談するという事が大切です。

(外務省の海外安全ページも必見です http://www.anzen.mofa.go.jp/)

上記の判断は理性的な判断ですが、もう一つお勧めしたいのは、「勘を働かせる」と言う事です。「なんとなく嫌な予感がする」「どうも不安が強くて本当はやりたくない」と言うときは無理をしないことです。これは個人的な考えですが「虫の知らせ」と言われるような感覚はとても大切で理性よりも感性で直観的に状況を判断するとたいてい正しい判断が出来るような印象があります。

被害に遭われている学生の方は高校時代はとても真面目でかつ部活動にも大変積極的に参加されていて、憧れの先輩的な素敵な存在だったそうです。筑波大学進学後は将来の目標が明確で大学側からの会見でも「意欲的で模範になる学生」とのコメントがありました。ネットでは被害に遭われた方について想像で中傷を書き込む方も見受けられますが、このような事件が起きた時にはご本人にしかわからない事情があると思います。充分に理解出来ていない事について断定的な表現をしないようにしたいものです。

一刻も早く今回の事件が解決し、無事が確認されることを心からお祈りしております。

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会社とは

様々な手法で企業の経営を立て直し、企業内でのダイバーシティ促進でも著名なカルビー株式会社会長兼CEOの松本晃さんのお話を伺う機会がありました。とても印象に残る言葉が「会社は魅力的な人間を育てるところ。現在の日本の会社の多くは不幸な人間を作っている。それは変えなくてはいけない」でした。

時間に対して給与を払うのではなく、その人の能力やパフォーマンスに対して評価をして対価を支払いたいと仰る言葉が心に残りました。残業代ではなく給与や賞与で会社の評価を示すという姿勢は働く側の意欲も高めかつ自らの能力を活かして競争力のある人材を育てる事になるのではないかと思いました。

 

女性のエンパワーメント

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駐日欧州連合代表部主催で「女性の経済的エンパワーメント」というテーマの会議に参加をする機会を頂きました。日本からは現職の大臣、衆参議員、企業の経営者、欧州からはフィンランド男女平等会議議長、元デンマーク政府厚生大臣など多彩なスピーカーが参加されスピーチやパネルディスカッションの内容は多岐に及びました。各国の女性地位向上、経済的自立のための施策やその効果などは現在日本で積極的に問われている女性の地位向上へ示唆に富んだ内容だったのではないかと思いますし、そのような内容の会議をEUが日本で開催するという事はとても意味深くある意味「もう変わらないと」と背中を押されているような印象を持ちました。

特に興味深くお聞きしたのが、女性の地位向上や男女平等は女性の環境を良くすることだけでは実現しないというご意見でした。男性と女性が同じ視点で環境を変えて行かなくてはいけないと切実に思わなくては結局男性社会は変わらないという意見は共感しました。女性のエンパワーメントとは日本においてはある意味減少している労働力の補完を意味しているのかもしれませんが、人生を生きていく上で働くという要素だけでなく生活や家族との過ごし方を含めて男女共に心豊かに暮らせるようにはどうしたら良いかという発想が必要なのではないかと思いました。

スピーカーの佐々木かをりさんが「男性に家族の価値を教育し、育児は多様性を学ぶ機会と捉えていってほしい」(Educate men “the family value” and make them understand that raising children is a way of diversity training.)と仰ったことが大変印象的でした。子育てを人生の重要なフェーズとして捉え、企業経営者は積極的に男性社員にも育児休業の取得を促すようにしてはどうかという問いかけは、女性の負担を減らすという効果だけではなく男性に人生の喜びを与える事にもなるのではないかと思いました。

国際会議での日本人

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都内でヨーロッパからの出席者が多数のある会議に参加をしました。スピーカーは海外からは大使、元大臣、企業の役員等、日本からも著名な企業経営者や政治家が参加されており内容はとても示唆に富んだ興味深い内容でした。

各スピーカーのお話を伺っていて少し残念に思う点がありました。ある日本人の方のプレゼンの方法でした。その方は政府系のスピーカーの方でしたが、「今回は日本語の資料を使わせて頂きます」とぎっしりと記載がある配布資料のような物をプロジェクターで投影されていました。国際会議でしたので同時通訳が入り、その通訳の方が立て板に水のように素晴らしい訳をされていたので聴衆の皆さまはプレゼンの内容はお分かりになったと思いますが、投影されていた資料は意味を持たなかったのではないかと思いました。

英語に訳すひと手間や、国際会議ではどのような資料を使うべきなのかという配慮が著しく欠けてしまっている点は同じ日本人として困惑する部分でありました。

先日海外でも同様な状況に遭遇したことがあります。プレゼンテーションの方法を学ぶ機会を今の若い世代には是非身に着けてほしいと思った経験でした。

多様性について

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来年より米国留学する息子に対してフィリピン人の友人がアドバイスをしてくれました。

「留学先で誰とでも仲良くなれると思わない方が良い。仲良くなれる人もいるけれど、理解できなくて付き合わない人がいても仕方がない。それが世界だから」

日本に住んでいると同じクラスでなじまない友達がいると何とか仲良くしようとしたり、理解しようとしたりします。そして日本ではある程度は理解できる環境なのかもしれません。けれども多民族国家のアメリカではそのような感覚では理解が出来ない事も沢山起きるとその友人は示唆してくれました。始めから理解が出来ないとあきらめろと言っているのではなく、世界には様々な考えを持つ人がいて同じ考えでなくても良いという事を学べる機会であるという事です。

フィリピン人の友人は長く日本に住み、日本と海外の違いを肌で感じてそのように伝えてくれました。日本を外から見る事で他国を知り、日本を知る事が出来る。広い視野で自分の生きている世界を理解してくれたらと思います。