感想文を頂くという事

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先日「世界ビトになろう!」出前授業を提供させて頂いた葛飾区立末広小学校の生徒の皆様が書いて下さった感想文をお送り頂きました。担任の先生からは丁寧なお手紙も添えられており生徒の皆さんの感想文は用紙にぎっしりと感じたことを書いて下さっていて大変嬉しく感激を致しました。

授業の感想を読ませて頂く事を私はご提供した授業の締めくくりとして捉えておりとても大切にしています。どの部分が特に響いていたか、分かりにくかった部分は無かったか、誤解はされていないか(意図が想定通りに伝わっているか)、極端な方向にミスリードしていないかなどを気にしながら読ませて頂きます。

今回頂いた感想文では、生徒の皆さんの感じた部分がそれぞれ異なったポイントであった事が印象的でした。日本人の働く環境が変化しているという事例について、海外と日本の生活習慣の違い、「世界ビト図鑑」の出演者の生き方、世界ビトになるために身に着けておきたい力等々。各人が自分なりに感じたこと、その事からこれから何をしようと思っているかなど具体的な考えも記載されていました。少しでもお話したことが生徒の皆さんのお役に立てていればといつも願っています。

頂いた感想文の内容は次に行う授業へ反映をさせていただいています。社会の状況は常に変化しています。そして子供たちの関心や考え方も変化していると思います。世界と繋がって生きていくために必要な力とはなどお伝えしたい骨子は変わりませんが、表現方法を変えたり新しい事例を入れたりと少しずつ内容を刷新していく事が重要だと思っています。私自身も常に新しい内容を発信しようとすることでどのように伝えれば良いかなど工夫を凝らすことが出来ます。感想を頂く事により表現の幅を広げることができていると感じる今日この頃です。いつも感謝の気持ちで読ませて頂いております。

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大人の視点と子供の現実

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先日姪と話していたら「就職がなかなか決まらないので親戚から看護師の資格を取れなど自分の専攻や興味とは全くかけ離れた具体的な職業を勧められ閉口している」と聞きました。また別の日には息子の同級生のお母さんから「そろそろ娘が大学進学のために理系・文系を選ばなくてはいけないことから2人で将来の仕事の話などを始めた」と話をお聞きしました。そのお母さんは結婚前は事務職をされていて、出産を期に専業主婦になり子供の手が離れた際に「手に職」がないことで再就職先を見つける事がとても大変だったそうです。そのためお嬢さんにはとにかく手に職を付けてほしいと願っており理系に進みたいと話されているお嬢さんにそれならば薬学を専攻し「薬剤師」の資格を取ったらと勧めたら「それはやりたいことと違う」と言われてがっかりしているとの事でした。

二つの話に共通している事は子供達の周囲の人たちは「自分の経験や知識から子供にとってベストと思われる提案をしているという事」「突き詰めると生きていく為には働く事が大切であるという事」を伝えようとしているということでした。どちらも子供の事を大切に思うからこそ「自分なりに考え付く事を一生懸命考えて提案してくれている」という愛情に基づいた対応でその点はとても心温まるお話です。自分の希望と異なる考えを押し付けられている=不快と子供が単純に反応しないでほしいなと思いました。

ただし、具体的な職業を提案することは今の世の中ではあまりしない方が良いのではないかと私自身は思います。世の中の環境変化はとても早く、そして社会は変わりゆくものです。親世代が確実に安定を約束すると思っている職業は近い将来淘汰されてしまう可能性もあります。子供世代の職業を親世代と同じ感覚でとらえるのは危険です。時代に合った職業を選択していく事がいつの世の中も求められているのだと思います。

私の母から聞いた話ですが、昭和20年以降戦争が終わり生活がやや豊かになりつつある時期に洋裁をする女性が沢山おり自宅で家族の洋服を作ることがトレンドだったそうです。洋裁の先生という職業もとても人気でした。それがしばらくすると既製品の洋服が一気に増え自分で服を作る人が激減したそうです。洋裁のお教室はあっという間に無くなってしまいました。職業は常に変わっていくものなのです。

そんな社会で生きていく為に必要なのは「変化に柔軟に対応出来る力」「環境変化に合わせて発揮できる強み(技術ではなく性質)」の自覚ではないかと思います。「対人関係力が強い」「コツコツと何かを積み上げるのが得意」「新しいことを発想するのが好き」などなど、具体的な職業ではなく自らの能力を自覚してその力を強化する。そうするとどんな変化が起きても「では新しい環境で自分の力を活かすのはどうしたら良いか」と柔軟に対応できるのではないでしょうか。

つい自分と同じ轍は踏ませたくないと子供の事を思う心は愛情深い心だと思います。子供に伝えるべきことは「具体的な職業の提示」ではなく「生きていく為に必要な力」であり、子供たちに本意が伝わるような表現をするように心がけていこうと考えています。

今年で5年目を迎えました。(その2)

2017年3月2日に中野区立江原小学校にて「世界ビトになろう!」出前授業今年第2回目をご提供しました。

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2回目の授業では「世界ビトに出会おう!」をテーマに江原小学校卒業生で海外と関わる仕事をしているゲストをお迎えしてお話をお聞きしました。今回のゲストは株式会社キュレイターズの水野昌美社長です。株式会社キュレイターズは美術展の企画、運営を行う会社でテーマ毎に世界各国の美術館から作品をお借りして日本で展覧会を開催するという仕事をされています。過去に200回位展覧会を企画運営していらっしゃるそうです。

美術展に行ったことはあっても、その裏でどのような人がどのように関わっているかはなかなか知ることが出来ません。その背景を水野さんは沢山のお写真を使って丁寧に説明をしてくださいました。今回はフランスの美術館から作品をお借りして専門の方々が梱包し、空輸して日本に届き日本の美術館で展示されるまでの詳しい様子を知る事が出来ました。

質疑応答では「輸送中に破損したりしないのですか?」「仕事に満足していますか?」など質問が沢山出ました。初めて知るお仕事に対して好奇心を持ってもらえて本当に良かったと思いました。

水野さんご協力ありがとうございました!

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今年で5年目を迎えました。(その1)

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地元中野区立江原小学校での「世界ビトになろう!」出前授業、今年で5年目となりました。今年も2週に渡り90分授業を2回ご提供しました。実は標準的な「世界ビトになろう!」授業は90分授業1回ですが、江原小学校は1回目の授業を行った当時の担任の先生から「90分1回では足りません」とリクエストを頂き、2回シリーズにしてワークを沢山取り入れています。「世界についての印象」「世界ビトになるために必要な力」などをチームで話し合って発表をしてもらったり、今年は新たに「英語を学ぶ理由を実感するジェスチャーワーク」も行ってみました。

1回目の授業ではクイズをしながら働く環境変化について理解を深め、「世界ビト図鑑」を視聴して実際に海外で働く事を理解。最後に自分が今ワクワクする事と将来やってみたい職業を「ワクワクの木」に書きました。

今年は例年より6年生は人数が少ないとの事で2クラス併せて51名の生徒の皆さんが活発に意見を述べて下さりとても楽しく和気藹々と授業を行う事が出来ました。

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真実とは何か。

仕事柄様々な国の方とお会いする機会が多く、私自身好奇心が旺盛であることから相手の方の国について色々と質問をさせて頂きます。どちらかというと直接お会いして伺ったお話をそのまま正しい情報と認知してしまう事が多いのですがそんな自分の姿勢を改めなくてはいけないのではないかと思える事がありました。

アメリカの大統領令による移民制限やヨーロッパの難民についての各国の反応を新聞で読むことが多いので現状を学ぶためにある1冊の本を読みました。「シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問」(パトリック・キングスレー著、ダイヤモンド社)という本でした。この本ではシリア難民と共にシリア周辺諸国の「経済移民」についても記載がありその違いについても学ぶことが出来ました。

ちなみに「難民」「移民」の違いとは以下のように定義されています。

「難民(refugee)」とは。(国際法により定義)

(1) 自国において「迫害をうけるおそれ」がある
(2) 「迫害のおそれ」が、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見に基づく
(3) 既に自国外に逃れている
(4) 自国政府の保護を受けることができない(あるいは迫害のおそれがあるから保護を望まない)

「移民 (immigrant)」とは。(明確な定義は無く、1997年に当時の国連事務局長の提案した定義)

(長期の)移民とは、「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12か月間当該国に居住する人のこと」となっており移動する目的や原因には一切触れていないので、海外赴任、転勤、留学、研修、海外旅行なども12か月以上であれば全て含まれることになる。

この本の中にはシリアの「難民」と同じ時期に「経済移民」と言われるシリア周辺の諸外国の人々が国を逃れて移動しており、EU圏の国々を目指していた事が書かれています(2015年時点)。「経済移民」は自国よりもより良い環境を求めて自由意思で移動する人と思われがちですが、それらの国の人々は実は独裁的な政治の下で自由を持たず、職業選択も政府に決められその方針に背くと虐げられている場合も多々あるという事でした。

実はある国の政府関係者と日本国内でお会いしてその国についてお話を伺う機会がありました。実はお会いした際には同国について事前にあまり知識を持たずにおり、ご説明では資源が豊富で治安も良く国民は愛国心が大変強い事。就職先は国境警備を希望する人が多い事も愛国心の表れであるとのコメントでした。たとえ財布を落としても必ず中身が入ったまま戻ってくるなどの事例もあり日本と似ている国なのかもしれないと感心したものでした。

今回読んだ本ではその国から大量の経済移民が国外脱出をしており、理由としては政府の独裁政治下では国民に自由は無く、政府の指示に従わないと拷問などもされているとの事が記載されていました。あまりに大きな見解の違いに正直とても驚きましたが、真実は何かと言う事を考える機会となりました。

この書籍の情報を鵜呑みにすることも一面的です。出来るだけ多くの情報を自分なりに集める事と多くの方の意見を聞く事で自分なりの仮説を構築することが大切と思いました。

あまりに一方的な情報を目にしたら「本当にそうなんだろうか」と違う視野から物事を検討するように可能な限り多面的に情報を集める事をしていかなくてはと思った機会でした。